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【愛玩動物看護師監修】なぜ猫は吐き戻すの?猫が吐き戻す原因と対処法について徹底解説

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愛猫が吐き戻すと心配になる方も多いと思いますが、実は猫が吐くのは珍しいことではありません。それでもできるだけ吐き戻しを軽減するために、猫が吐く原因について知っておくことは大切です。この記事では猫の吐き戻しの原因と対処法について以下の順で分かりやすく解説していきます。

この記事の監修者

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荒川 真希

ヤマザキ動物看護大学 動物臨床栄養教育学研究室
講師[愛玩動物看護師・ペット栄養管理士・VT・AHT・CDT・DGS]

猫はどんな時に吐くか

猫が吐いてしまう理由は様々です。ここでは吐き戻しの主な要因を6つご紹介しそれぞれについて詳しく解説します。

1.毛玉が胃に溜まっている

猫はとてもきれい好きなので、こまめに自分の身体をなめて毛づくろいします。また、自分のにおいを付けて安心したい時やリラックスしている時、清潔さを保つために毛づくろいをしている時など、様々なタイミングで身体をなめることがあります。この毛づくろいの際に徐々に体内に毛が入り、やがて毛玉が胃に溜まります。そのため、うんちと一緒に排出しきれなかった毛玉を口から吐くことがあります。

⒉食べ過ぎ・早食い

とてもお腹が空いている時や大好物のフードが出された時などに、ついつい早食いしたり食べ過ぎたりする猫もいます。そのため急激に胃が膨れたり、食道にとどまっている食べ物をきちんと消化できなかったりすると吐き戻してしまうことがあります。

⒊異物を食べた

室内に置いてあった物やおもちゃ、観葉植物など、猫が食べてはいけない物を食べてしまった時も、体内から異物を排出するために吐き戻すことがあります。

⒋フードが合わない

現在与えているフードが猫の体質に合っていないことも吐き戻しの原因になることがあります。特に子猫から成猫になるまでの期間は成長段階に合ったフードに変えていく方も多いと思いますが、その際に変えたフードの中に今まで食べていなかった原材料があれば、体質に合わない物が出てくるかもしれません。また、フードの原材料だけでなく、大き過ぎたり、硬過ぎたりなど、フードの形状や硬さが合わなくて吐き戻してしまう可能性もあります。

5.ストレス

人間と同じで猫もストレスや不安を抱えることがあります。環境の変化や、コミュニケーション不足等でストレスを抱えると、フードが上手く飲み込めなかったり消化不良を起こしたりすることで吐き戻すことがあります。

6.食べる時の姿勢

見落としやすい点ですが、食器の高さや位置が吐き戻しの原因になっていることもあります。食器の高さが低過ぎると、腹部が圧迫され食道が胃の位置よりも低くなってしまいます。そのためフードをきちんと飲み込めず、食道に残ったフードを吐き戻してしまう可能性が高くなります。

7.病気

吐き戻しの頻度や吐いた物の内容によっては病気ということも考えられます。消化器系や口腔内の病気、何らかのウィルス感染が原因となっているかもしれません。明らかに元気がない際や、様子がおかしい際はかかりつけの動物病院に相談しましょう。

猫が吐き戻しの前に見せるサイン

猫が吐き戻す理由は様々ですが、吐く時には何かしらのサインが見られることが多いです。吐く前に見られるサインには以下があります。

  • ごはんや水を飲んだ直後に下を向いている
  • 元気がなく隅の方でじっとしている
  • お腹の動きが大きく波打っている
  • 口を大きく開けて舌を出している

サインを見落とさずに素早く気づいてあげることで、愛猫の元気はあるか、嘔吐を繰り返していないか、吐いたものの中に血は混ざっていないか、便臭や薬品臭がしていないか等の吐き戻しの原因を特定する手がかりを得られる場合もあります。ただし、原因がすぐに分からない場合は自分で判断しようとせず、かかりつけの動物病院に連れていってあげましょう。サインを見落とさないためには、普段から愛猫の様子をよく観察し、小さな変化にも気を配る事が大切です。

猫が吐いた時どうしたらいい?

大切な愛猫が吐き戻した時、飼い主さんは慌てたり動揺したりするかもしれません。しかし猫は元々吐きやすい動物ということも覚えておきましょう。吐き戻しに上手く対応し、愛猫と飼い主さん双方の負担を減らすためにも以下の点を押さえておきましょう。

  • 吐いた直後に水やフードを与えない
  • 吐いたタイミングや内容物を観察し、記録しておく
  • 吐いた後の猫の様子を観察する
  • 吐いても叱らない

猫はいたずらで吐いている訳ではありませんので決して叱ったりせず、その後元気そうにしているかしばらく様子を見守ってください。愛猫の状態を把握するためにもいつ、どんな物を吐いたかなどしっかり確認しておきましょう。

吐き戻しを軽減するための対処法

猫が吐き戻すのは珍しくないとはいえ、少しでも頻度を減らし猫の体への負担を軽くするには、どんな対策ができるでしょうか?ここからは、吐き戻しを防ぐための方法を4つご紹介します。

⒈ブラッシング

定期的なブラッシングで余分な抜け毛を取り除くことで、毛づくろいの時に飲み込んでしまう毛の量を減らせます。ただし、ブラッシングが苦手な猫ちゃんや、機嫌が悪い時に無理に行うとストレスになってしまうため、様子を見ながら無理のないようにしてください。

2.フードの見直し

早食いや食べ過ぎを防ぐためには、 ①食べる回数を調整してみる ②フードの種類を変えてみる ③フードの食べ方を確認してみる ということを試してみましょう。 まずは、食事の回数を増やして一度にあげるフードの量を減らすことが有効です。次に、よく噛みながら時間をかけて食べられるようフードの大きさ、硬さ、形状を変えて色々試してみたり、猫の毛玉に配慮したフードを検討したりするのも良いでしょう。また食事の際、正しい姿勢を保つためにフードの食器の高さを調整することも大切です。食べる時に頭が胃よりも下の位置になっていないか、頭と床がほぼ平行になっているか確認してみて下さい。高さを調整することで、消化の負担が軽減され、食事が楽にできるようになります。調整をする際は、背の高い容器の使用や、容器の下に土台を入れて底上げなどを試してみましょう。

⒊ストレスを解消させる

普段寝ていることが多い猫ですが、適度に運動をさせたりや遊ばせたりすることも大切です。毎日の隙間時間におもちゃで遊んであげることや、上下運動ができるようキャットタワーなどを設置するのもおすすめです。もし自宅の環境や不満などでストレスや不安を抱えているようなら、たくさん遊んだりコミュニケーションをとってあげたり、環境を見直してあげたりすることで、ストレスを解消させてあげましょう。

⒋動物病院に相談する

吐き戻しの状況によっては動物病院へ相談することも必要です。特に吐き戻した後、ぐったりして元気がない状態が続く時は要注意です。また1~3を実践したけれど毎日のように吐き戻す、改善が見られないなどといった状況であれば、何らかの病気である可能性も考えられます。吐いた物や吐き戻した後の様子が普段と違うと感じた時も、速やかに病院へ連れて行くことをおすすめします。その際、できれば吐いた物をポリ袋などに入れて持参するか、写真や動画を撮って獣医師に見せると良いでしょう。

まとめ

猫の吐き戻しはめずらしいものではないので、ある程度の吐き戻しは仕方がないかも知れません。しかし、できるだけ愛猫と飼い主双方の負担を減らすためにも、不必要な吐き戻しは減らしてあげたいですよね。この記事でご紹介したとおり、猫が吐く原因を知ったうえで事前に見られるサインに素早く気づいてあげることが大切です。また愛猫が少しでも元気に気持ちよく過ごせるよう、吐き戻しを軽減させるための対処法をできるだけ実践していきましょう。

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