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Dog Note

ドッグフードの原材料は?表示を理解するための、主な原材料・成分一覧  その他、添加物

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愛犬には体に良いものを食べさせたいという想いから、ドッグフードの添加物が気になっている飼い主さんも多いのではないでしょうか。なぜ添加物が使用されているのか、またどんな添加物があるのかを知ることで、愛犬に安心して食べてもらえるフードが選べるようになるはずです。この記事では、ドッグフードの添加物について解説します。

ドッグフードの添加物とは

ドッグフードに使用される添加物とは、味や栄養、品質の保持などの目的から添加する成分のことで、合成だけでなく天然由来のものも含まれます。なお、国によりにより定められている「ペットフード安全法(愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律)」により、わんちゃんにとって有害となる物質や汚染物質が含まれるフードの製造、輸入、販売は禁止されています。 どのような添加物があるのか、主なものをご紹介しましょう。

アミノ酸類

アミノ酸は人間だけでなくわんちゃんにとっても重要です。アミノ酸はたんぱく質を構成する主成分ですが、たんぱく質のおかげで被毛や筋肉・臓器などが形成されるからです。ドッグフードに含まれるアミノ酸をいくつかご紹介します。

◆メチオニン

必須アミノ酸の一種で、動物性たんぱく質に多く含まれます。体内で合成できないため、食事から摂取しなければなりません。メチオニンには尿を酸性化する働きがあります。ドッグフードに含まれる場合は「メチオニン」「DL-メチオニン」と表記されることがあります。

◆タウリン

タコやイカ、貝類、魚類に多く含まれており、「含硫アミノ酸様化合物」の一つです。タウリンが欠乏すると、目の網膜や心筋に悪影響があることが知られています。犬は体内でメチオニンやシステインから、タウリンを合成することができます。

◆L-カルニチン

L-カルニチンは、リジンとメチオニンにより生合成され、「アミノ酸誘導体」の一つです。主に肝臓や腎臓で作られます。筋肉に多く含まれ、脂肪の燃焼を促す役割があるのが特徴です。

ビタミン類

ビタミンは代謝の促進や免疫強化など重要な役割を持つ栄養素です。ドッグフードの栄養素を見る時に覚えておきたい主要ビタミンの特徴について解説します。

◆ビタミンA

「レチノール」とも呼ばれる脂溶性ビタミンの一つで、特にレバーに多く含まれています。目の網膜、皮膚、粘膜の形成や機能の維持に必要な栄養素です。ビタミンAが不足すると、夜盲症や免疫機能低下などの原因になり、逆に過剰に摂取すると、骨の形成不全などを招く恐れがあるとされています。

◆ビタミンE

「トコフェロール」とも呼ばれる脂溶性の物質で、植物油や種実類などに豊富に含まれます。強い抗酸化力があり、細胞膜や体内の脂溶性物質の安定化に必要です。活性酸素から体を守る働きもあります。ドッグフードに含まれる場合は「(ミックス)トコフェロール」と表記されることがあります。

◆ビタミンK

血液の凝固作用を持つ脂溶性ビタミンの一つで、「血液凝固因子」とも呼ばれます。骨の成長にも不可欠です。ビタミンKには3種類(K1、K2、K3)ありますが、ペットフードには極少量のビタミンK3が使用されていることがあります。

◆ビタミンB1

「チアミン」とも呼ばれる水溶性ビタミンの一種です。体内で糖質(炭水化物)をエネルギーに変換する時に欠かせません。また、神経の働きに必要な成分です。ビタミンB1が不足すると、食欲不振や麻痺神経炎などの症状を引き起こす可能性があると言われています。ドッグフードに含まれる場合は「チアミン」と表記されることがあります。

◆ビタミンB2

「リボフラビン」とも呼ばれる水溶性の物質です。皮膚や粘膜の働きを助けるほか、補酵素としてエネルギー変換する際にも重要な働きをします。不足すると成長低下や運動失調、皮膚炎、結膜炎などを招く恐れがあるでしょう。ドッグフードに含まれる場合は「リボフラビン」と表記されることがあります。

◆パントテン酸カルシウム

ビタミンの一つである「パントテン酸」に「カルシウム塩」がプラスした成分です。パントテン酸は、脂質代謝やエネルギー代謝を促進する働きがあるのが特徴です。パントテン酸は欠乏することがほとんどありませんが、もし不足すると脂肪肝や昏睡などを招く恐れがあります。ドッグフードに含まれる場合は「パントテン酸」と表記されることがあります。

◆ナイアシン

「ニコチン酸」とも呼ばれる水溶性ビタミンの一つで、体内での脂肪酸の合成や、コレステロールなどのステロイドの代謝に必要な栄養素です。皮膚や被毛の健康維持にも役立ちます。ナイアシンが不足していると、皮膚炎や口内炎などの症状が出るかもしれません。ドッグフードに含まれる場合は「ニコチン酸アミド」と表記されることがあります。

◆ビタミンB6

「ピリドキシン」とも呼ばれる水溶性の物質で、補酵素として働きます。脂肪やたんぱく質・アミノ酸の代謝に必要な栄養素です。動物性たんぱく質や種実類など、様々な原材料に含まれています。ビタミンB6が不足すると、成長低下や食欲不振を招く恐れがあるでしょう。ドッグフードに含まれる場合は「ピリドキシン塩酸塩」と表記されることがあります。

◆葉酸

水溶性の物質で、遺伝子の基である核酸の合成、アミノ酸の代謝に必要な栄養素です。不足すると成長低下や貧血、舌炎などが生じます。

◆ビオチン

水溶性の物質で、脂肪酸やアミノ酸の代謝、DNAの合成などに必要な栄養素です。美しい被毛の維持や皮膚の健康維持に欠かせません。不足すると成長低下や脱毛、皮膚角化症、および目や鼻・口の周りの乾燥などが生じます。

◆ビタミンB12

「シアノコバラミン」とも呼ばれる水溶性の物質で、補酵素として葉酸を体内で活性化させる働きがあります。また、たんぱく質の生成や赤血球のヘモグロビン合成に関与しています。動物性たんぱく質のみに含まれており、植物性のものにはほとんど含まれていません。ビタミンB12が不足すると、成長低下や貧血症状に加え、葉酸の欠乏症状が出ます。ドッグフードに含まれる場合は「シアノコバラミン」と表記されることがあります。

◆塩化コリン

コリンは、水溶性ビタミン様作用物質です。この物質は、神経伝達物質であるアセチルコリンや、細胞膜の構成要素の一つであるホスファチジルコリンの体内合成での材料になります。不足すると、脂肪肝や腎臓疾患などを招きやすくなるでしょう。ドッグフードに含まれる場合は「コリン」と表記されることがあります。

◆イノシトール

イノシトールは水溶性で、正式にはビタミン様物質とされています。脂肪肝や動脈硬化を抑制する作用があります。わんちゃんについては、不足による欠乏症状はありません。

ミネラル類

ミネラル類(無機質)は体の形成や消化のサポートなど、多くの重要な役割を果たします。わんちゃんはミネラル類を体内で作り出すことができないため、ドッグフードから摂取する必要があります。主要なミネラル類をいくつか見てみましょう。

◆炭酸カルシウム

炭酸カルシウムは、カルシウムと炭酸イオンが結合した物質です。骨格の主要成分としてリンと共に骨を強くする役割があるほか、細胞間の情報伝達にも重要な役割を担っています。不足すると成長低下や食欲低下、自然骨折、痙攣などを招く恐れがあります。一方、過剰に摂取すると骨格異常を招きやすくなります。ドッグフードに含まれる場合は「Ca」「カルシウム」と表記されることがあります。

◆リン酸カルシウム

リン酸とカルシウムの化合物です。リンは歯や骨の構成成分となるため、重要な物質です。しかし、高齢期のペットには腎臓病に配慮して、リンの摂取量を減らすことが推奨されています。ドッグフードに含まれる場合は「第二リン酸カルシウム」「リン酸Ca」「P、Ca」「カルシウム、りん」などと表記されている可能性があります。

◆塩化ナトリウム

いわゆる食塩のことで、ナトリウムと塩素が結合した物質です。ナトリウムと塩素は、浸透圧平衡やpH平衡、神経刺激の伝達の役割を担っています。塩素は胃酸である塩酸の成分にもなります。高齢期のペットでは、ナトリウムの過剰な摂取は控えるよう推奨されることもしばしばです。ナトリウムが不足すると、成長低下や食欲不振、極度の疲労を招きます。過剰に摂取すると、水を適量に飲めない場合、のどの乾きや便秘などの症状が出る可能性があります。ドッグフードに含まれる場合は「Na、Cl」「ナトリウム、塩素」と表記されることがあります。

◆塩化カリウム

カリウムと塩素が結合してできた物質です。カリウムは浸透圧平衡やpH平衡、神経刺激の伝達、筋肉の収縮などに重要な役割を担います。不足すると食欲不振や成長低下、無気力、運動失調などを招く恐れがあります。下痢が長期で続いている場合、カリウムが大量に失われるため、補給が必要になるでしょう。カリウムの過剰症については稀ですが、麻痺などが起こる可能性はゼロではありません。ドッグフードに含まれる場合は「K、Cl」「カリウム、塩素」と表記されることがあります。

◆硫酸鉄

鉄分の補給を目的として、ドッグフードなどに配合されていることがあります。鉄は、血液中で酸素の運搬役として働く「ヘモグロビン」の構成要素です。肉類や魚介類、藻類に多く含まれます。不足すると貧血や被毛の荒れ、無気力などの症状を招く恐れがあります。一方、過剰に摂取するとリンの利用率を下げ、食欲不振や体重減少などが起こるかもしれません。ドッグフードに含まれる場合は「Fe」「鉄」と表記されることがあります。

◆炭酸亜鉛(または亜鉛アミノ酸複合体など)

亜鉛を供給する原材料です。不足すると食欲不振や成長低下、皮膚・被毛の荒れ、脱毛、結膜炎などが見られることがあります。過剰摂取による害はほとんどありません。亜鉛アミノ酸複合体は、亜鉛とアミノ酸が結合した物質で、通常の亜鉛よりも消化や吸収が良いのが特徴です。ドッグフードに含まれる場合は「亜鉛アミノ酸複合体」「Zn」「亜鉛」と表記されることがあります。

◆炭酸マンガン

炭酸とマンガンが結合したものです。マンガンは、酵素の活性化を助ける働きがあります。また、関節の軟骨成分である「コンドロイチン硫酸」の合成に必要な酵素成分として重要です。不足すると繁殖障害や成長遅延を招く恐れがあります。通常の食事で摂り過ぎる心配はまずありません。ドッグフードに含まれる場合は「Mn」「マンガン」と表記されることがあります。

◆硫酸銅

銅には、体内でのヘモグロビンの合成や鉄の吸収を促す働きがあります。不足すると骨格異常や貧血、成長遅延などを招く場合があります。通常の食事で過剰摂取する心配はほとんどありません。ただし、過剰に摂取すると鉄や亜鉛の利用を阻害することがあります。ドッグフードに含まれる場合は「Cu」「銅」と表記されることがあります。

◆ヨウ素酸カルシウム

甲状腺ホルモンの構成成分で、藻類に多く含まれています。不足すると甲状腺機能障害や繁殖悪化を招く恐れがあるでしょう。過剰に摂取しても、不足した場合と同じ症状を招きます。ドッグフードに含まれる場合は「カルシウム、ヨウ素」「CaI」と表記されることがあります。

その他

以上の他にも、ドッグフードに配合されることがある代表的なものをいくつかご紹介します。

◆オリゴ糖

お腹の善玉菌である乳酸菌を増やし、腸内環境を整えると言われています。近年、腸内環境と食物アレルギーの関係について研究が行われており、食物アレルギーの観点からも腸内細菌叢に関する注目が高まっています。「フラクトオリゴ糖」「ガラクトオリゴ糖」と表記されることがあります。 

◆セルロース

植物由来の繊維を精製したもので、水に溶けない不溶性食物繊維の仲間です。便通を良くするするなどお腹の健康維持をサポートします。セルロースを含むドッグフードには「増粘剤」などと表記されることがあります。

◆グルコサミン

軟骨などに分布して、関節組織を構成する重要な成分です。エビやカニなどの甲殻類の主成分キチンの加水分解物が原料とされることが多く、関節痛などをやわらげる効果が期待されています。グルコサミンが配合されている場合は、「グルコサミン塩酸塩」と表記されることがあります。

◆酵母

酵母は糖分を分解する微生物です。その用途は様々で、たんぱく源として使用されたり、抗酸化物質など特定の成分の供給源として使用されたりします。酵母エキスは味付けとしても使用されます。 酵母が含まれる場合その酵母の種類に応じて「ビール酵母」「グルタチオン酵母」「セレン酵母」等と表記れることがあります。

◆ブドウ種子エキス

ブドウの種から抽出したエキスで、ポリフェノールを豊富に含んでいる天然の抗酸化成分です。本来ブドウは急性腎障害を引き起こす原因となるため、わんちゃんに与えてはいけませんが、ブドウ種子エキスは成分だけを抽出しているため安全です。

まとめ

ドッグフードに使用される添加物には様々なものがありますが、それらがどのような役割を持っているのかがわかると、愛犬に合ったフードかどうか判断がしやすくなるでしょう。愛犬の体は、毎日のフードが作ります。パッケージの表示をしっかり確認して、安心して美味しく食べてくれるものを選んであげてください。

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