- Column -

ペットライン 猫ノート

Cat Note

【専門家監修】猫の発情期を理解してトラブル防止!発情期の時期・特徴・注意点をまとめて解説!

公開日:

「猫の発情期はいつからいつまで?」「オスとメスでそれぞれ発情期中に見られる特徴はある?」このように疑問に思っている飼い主さんも多いでしょう。発情期を迎えた愛猫の行動を事前に知っていないと飼い主さんは驚いてしまうかもしれません。また、発情期には問題行動やトラブルも多いため、猫の発情期の特徴を知っておきましょう。

この記事の監修者

荒川 真希のイメージ画像

荒川 真希

ヤマザキ動物看護大学 動物臨床栄養教育学研究室
講師[愛玩動物看護師・ペット栄養管理士・VT・AHT・CDT・DGS]

更新日:2025年7月28日

メスの猫 は生後4~12カ月齢頃から繁殖可能

一般的にメスの猫の方がオスの猫よりも性成熟が早く、メスの猫は生後4~12ヵ月歳から繁殖できるようになります。また、個体の体質や飼育環境、栄養状態などにも影響されますが、短毛種の猫は比較的早い段階で発情期を迎えることが多いのに対し、長毛種の猫はやや遅れて発情期を迎える傾向にあります。

オスの猫の発情はメスの猫の声や匂いによって起こる

オスの猫の性成熟はメスの猫と比べて遅めです。精巣に精子が作られるのは生後8〜12カ月齢頃で、この時期からマーキングやマウンティングといった行動が見られるようになります。 しかし、オスの猫の発情はオス単体では起こらず、メスの猫の声やにおいに誘発されて発生します。 オスの猫は発情すると、メスの猫のもとに向かうために外へ出ようとします。オスの猫が外に出れば、メスの猫をめぐって他のオスの猫とケンカが始まります。

猫の発情期を迎える季節は春や夏がピーク

猫が発情期を迎える季節は、暖かくて出産や子育てがしやすい春や夏がピークです。2月〜4月と6月〜8月の年2回ピークが訪れ、1年でおよそ2〜3回の出産が可能です 。 また、メスの猫の発情期は、日照時間が14時間を超えると迎える  ようで、短くなると発情症状が緩和されます。

メスの猫が見せる発情期の行動

メスの猫の発情期には主に6つの行動が見られます。

①飼い主さんへ甘えてすり寄ってくる

飼い主さんへ甘えてすり寄ってくる行動は、発情前期にみられます。 これまでよりも活発的にすり寄ってくる、頭や首を強くこすりつける、いつも以上に喉をゴロゴロと鳴らしていると感じたら、発情期のサインかもしれません。この時期にはまだオスの猫を受け入れず、オスの猫が近付くと威嚇をする状態です。

②普段は聞かないような大声で鳴く

メスの猫が大声で鳴いたら、発情のピークでオスの猫を受け入れる時期です。「ワウワウ」や「ワーオ」など、赤ちゃんが泣いているような鳴き声でオスの猫を呼びます。 普段は聞かないような鳴き方なので分かりやすいでしょう。

③背中を床につけて腰を何回もくねくねする

背中を床につけて寝転び、くねくねする行動は、発情期によく見られます。猫は、普段甘えるときにも背中を床につけてお腹を見せることがありますが、発情期には激しく動きます。そのため、普段との違いは分かりやすいでしょう。

④お尻を高く上げる姿勢になる

お尻を高く上げる姿勢を「ロードシス」と呼び、オスの猫を受け入れる態勢です。 ロードシスの姿勢を取ったまま、後ろ足で足踏みをする場合もあります。

⑤スプレー行動をする

スプレー行動は、去勢前のオスの猫によく見られますが、メスの猫でも発情期に入るとスプレー行動をする場合があります。 より良いオスの猫を誘うためだといわれており、オシッコは濃く、強烈なにおいを発します。

⑥トイレ以外でオシッコする

発情期のメスの猫の中には排尿の回数が増えてしまい、粗相をしてしまうケースがあります。発情期が終わるとトイレできちんとできるようになるため、怒らず気長に見守ってあげましょう。

オスの猫が見せる発情期の行動

メスの猫のフェロモンを感じて発情期を迎えたオスの猫には、特徴的な 行動が見られます。 メスの猫と違い、オスの猫には発情の準備期間がなく、成熟期に入っていれば、いつでも交尾が可能です。トラブルを未然に防ぐためにも、以降で紹介する5つの行動には注意しましょう。

①大きな声で鳴く

メスの猫と同様、オスの猫も赤ちゃんのような鳴き方でメスの猫に存在をアピールします。 昼夜問わず鳴き叫ぶため、去勢前の猫の鳴き声が近隣トラブルの原因となるケースがあります。もし、仮に室内で飼育していても、防音対策はしておいた方が良いかもしれません。

②落ち着かなくなる

そわそわと落ち着きがなくなるのも、オスの猫の発情行動のひとつです。部屋の中をうろうろしたり、ちょっとした物音にもすぐに反応したりするなど、敏感になります。

③外に出たがる

発情期のオスの猫は外に出たがる場合が多く、窓から外を眺めて離れなかったり、鳴き声をあげながら外を見たりと、外への執着心を見せます。可哀そうなので出してあげたいと思う飼い主さんもいらっしゃると思いますが、決して外に出さないようにしましょう。

④スプレー行動をする

スプレー行動とは、去勢前のオスの猫によくみられる臭いの強い尿をスプレー状にする行動のことです。自分の存在やテリトリーを主張するマーキングの一種で、発情期以外でも見られるケースはありますが、繁殖期になると特に頻度が高くなります。

⑤他の猫に攻撃的になる

発情期の時の猫は、他の猫に対して攻撃的になります。近づくだけで威嚇し合い、あっという間に大きなケンカに発展します。猫同士のケンカは、大けがにつながる危険があり、傷口の化膿や感染症の恐れもあるため、発情期の間は外に出さないことが大切です。

猫の発情期に見られる行動の対処法

猫の発情期には問題行動が多くみられます。ここからは発情期の問題行動への3つの対処法をご紹介します。

①スプレーをしそうな場所に撥水シートやトイレシートを貼り付ける

猫ちゃんがスプレーをしそうな場所に撥水シートやトイレシートを張り付けておくと、においが染み込まず掃除も容易に済ませられます。猫の特性として、においがついている場所にスプレーをするというものがあるため、撥水シートやトイレシートは尿スプレーの場所を固定化させないためにも有効です。壁やカーテンには拭き掃除ができる撥水シート、床面にはトイレシートなど、場所によって使い分けるのがおすすめです。

②室内の気密性を高める(外猫対策)

できるだけ窓を開けずに、室内の気密性を高めましょう。オスの猫は、フェロモンが含まれたにおいで発情が誘発されるため、できるだけ外のにおいを感じさせないことがポイントです。 また、カーテンを閉めて外が見えないようにするのも良いでしょう。防音性が高いカーテンなら、鳴き声対策にも効果が期待できます。

③甘えてきても放っておく

メスの猫の発情時期はいつも以上に甘えてきますが、構いすぎるのも良くありません。発情期の問題行動がひどくなる恐れがあるため、ある程度は放っておくようにしましょう。

猫の発情期が始まった時の注意点

猫の発情期が始まった時に間違った行動をしてしまうと、発情期の問題行動を助長してしまう恐れがあります。正しく対処するためにも、これから紹介する注意点を把握しておきましょう。

叱ったり、大きな声で驚かせたりしない

発情期の愛猫に対して、叱ったり大きな声で驚かせたりしてはいけません。飼い主さんにとってはしつけのつもりでも、愛猫にはストレスがかかってしまい、飼い主さんとの信頼関係が損なわれる可能性があります。また先ほど紹介した問題行動が、悪化する原因にもなりかねません。 叱ったり驚かせたりするのではなく、「問題行動ができない」環境を作りましょう。

マタタビを与えない

発情期にマタタビを与えるのは、問題行動を助長してしまう恐れがあるのでやめましょう。マタタビの効果には個体差があり全く興味を示さない猫もいますが、反応が強く出すぎてしまう猫もいるため危険です。

脱走防止策を徹底する

発情期の猫は外に出たがる行動が多くなるため、脱走対策を入念に行ってください。家族が出入りする際に、玄関から愛猫が脱走するケースが多くあります。そのため、窓や玄関など愛猫が脱走しそうな場所には脱走防止用の柵やゲートなどを設置して、脱走させない事前の対策が重要です。

猫の発情期に起こるトラブルを防ぐなら避妊・去勢手術がおすすめ

猫の発情期のトラブル防止には、避妊・去勢手術が効果的です。避妊・去勢手術を行えば、スプレー行動や鳴き声などの発情行動を抑制する可能性があるほか、生殖器系の疾患を予防することもできます。特にメスの猫は乳腺腫瘍の発生率を下げると言われているため、繁殖や妊娠を望まないのであれば早めに避妊手術を受けておきましょう。

あわせて読みたい記事

SNS公式アカウント